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2025年10月4日
ウッドデッキの素材選びとそれぞれの特徴
理想のウッドデッキを実現する、後悔しないための素材選び完全ガイド
ウッドデッキは、リビングの延長として、あるいは家族や友人との憩いの場として、私たちの暮らしに豊かさをもたらす特別な空間です。休日のブランチ、子供たちの遊び場、静かな読書の時間など、その活用方法は無限に広がります。
しかし、その夢の空間を実現するためには、最初のステップである「素材選び」が極めて重要になります。ウッドデッキの素材は、見た目の美しさだけでなく、将来のメンテナンスの手間、耐久性、そして総費用にまで大きな影響を及ぼすからです。市場には、温かみのある風合いが魅力の「天然木」から、メンテナンス性に優れた「人工木」まで、多種多様な選択肢が存在します。それぞれの素材が持つ特性を深く理解しないまま選んでしまうと、「思ったより手入れが大変」「夏場に熱くて歩けない」「数年で腐食してしまった」といった後悔につながりかねません。
この記事では、あなたのライフスタイルや価値観に最適なウッドデッキ素材を見つけ出すための、包括的かつ詳細な情報を提供します。天然木と人工木の根本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、さらには費用対効果や安全性といった多角的な視点から、一つひとつ丁寧に解説していきます。
目次
1. 天然木と人工木ウッドデッキの違いと特徴
ウッドデッキの素材選びは、大きく分けて「天然木」と「人工木」という二つの選択肢から始まります。
これらは見た目や質感が似ているものもありますが、その成り立ちと特性は全く異なります。最適な選択をするためには、まず両者の本質的な違いを理解することが不可欠です。
1. 天然木(自然素材)
天然木は、その名の通り自然の木をそのまま加工した素材です。
<魅力とメリット>
- 温かみのある質感、美しい木目、心地よい香りといった、本物の木だけが持つ魅力。
- 一つとして同じ表情のない木目が、空間に深みとオリジナリティを与える。
- 年月を経るごとに色合いが変化し、味わいが増していく「経年美化」が楽しめる。
<種類>
天然木はさらに、以下の種類に大別されます。
- ハードウッド: 密度が高く硬質な木材。(耐久性が高い)
- ソフトウッド: 比較的柔らかく加工しやすい木材。(加工しやすい)
<デメリットと注意点>
- 自然素材であるがゆえに、水分や紫外線、害虫の影響を受けやすい。
- 腐食や色褪せ、シロアリ被害などを防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせない。
2. 人工木(工業製品)
人工木は、木粉(木の粉)と樹脂(プラスチック)を混ぜ合わせて成形した工業製品です。リサイクル素材が利用されることも多いです。
<最大のメリット>
その優れた耐久性とメンテナンスの容易さにあります。
- 樹脂が主成分であるため、水分をほとんど吸収せず、腐食やシロアリの心配がない。
- 防腐・防蟻塗装といった定期的なメンテナンスが不要。
- 日常的な手入れは、土汚れなどを水で洗い流す程度で済む。
- 品質が均一で、色褪せやささくれ、反りなども起こりにくい。
<デメリットと注意点>
- 夏場の直射日光下では、表面温度が天然木よりも高くなりやすい傾向がある。
製品によってはプラスチック特有の質感が感じられ、天然木の風合いを完全に再現するには至らない場合もある。
2. メンテナンスが簡単な人工木ウッドデッキの魅力
ウッドデッキを設置した後、多くの人が直面するのがメンテナンスの問題です。
特に忙しい現代のライフスタイルにおいて、「手入れの手間を極力減らしたい」と考える方にとって、人工木ウッドデッキは非常に魅力的な選択肢となります。その最大の魅力は、長期間にわたって美観と機能性を維持するための手間がほとんどかからない点に集約されます。
人工木が実現する「メンテナンスフリー」に近い手軽さ
人工木は、木粉と樹脂の複合材であり、その構造自体が優れた耐候性を実現しています。
- 腐食・塗装の心配が不要
- 主成分である樹脂が水の浸透を強力に防ぐため、腐食が進行するという心配がありません。
- 防腐剤や保護塗料の再塗装作業が根本的に不要となります。
- この塗装作業(移動、洗浄、乾燥、塗装など)がなくなるだけでも、維持管理の負担は劇的に軽減されます。
- 害虫被害のリスクが極めて低い
- シロアリなどの害虫被害のリスクが極めて低いことも大きな利点です。
- 人工木は害虫にとって食料とならないため、薬剤処理なしでその脅威から解放されます。
- 小さなお子様やペットのいるご家庭でも、安心して利用できます。
- 日常のお手入れがシンプル
日常のお手入れは非常にシンプルです。
- 一般的な汚れ(土、砂埃、落ち葉など):ほうきで掃く、または水をかけてデッキブラシで軽くこするだけで簡単に落とすことができます。
- 食べこぼしや油汚れ:中性洗剤を使えばすぐに対応可能です。
- 天然木のようにシミが深く染み込むことが少ないため、いつでも清潔な状態を保ちやすいのです。
- 製品の安定性(安全性と美観の維持)
工業製品であるため、以下の点で製品が安定しています。
- 安全性: 天然木に見られるような反りや割れ、ささくれが発生しにくい設計。裸足で歩いても安全性が高いです。
- 美観: 耐候性の高い顔料が練り込まれており、長期間にわたり購入時の色合いを保ち続けることができます(色褪せが少ない)。
これらの特性が、人工木ウッドデッキの「メンテナンスフリー」に近い手軽さを実現しているのです。
3. 耐久性に優れたハードウッドの選び方と特徴
天然木のウッドデッキに、高級感と圧倒的な耐久性を求めるならば、「ハードウッド」が最も有力な選択肢となります。
ハードウッドとは、主に東南アジアや南米などの熱帯地域で産出される、密度が高く非常に硬い木材の総称です。その重厚な質感と美しい木目は、ウッドデッキ空間をワンランク上の上質なものへと昇華させます。
ハードウッドの卓越した耐久性
ハードウッドの最大の特徴は、その卓越した耐久性にあります。
<耐久性の理由>
- 高密度: 木材自体の密度が非常に高いため、水分が浸透しにくく、腐食菌が繁殖しにくい。
- 天然成分: 木に含まれるポリフェノールなどの天然成分が、シロアリをはじめとする害虫を寄せ付けにくい効果を発揮。
<実用性>
- 特別な防腐・防蟻処理を施さなくても、ノーメンテナンスに近い状態で20年、30年と長期間にわたって使用できる強度を誇る。
- 公共の遊歩道や桟橋など、過酷な環境下でも採用されていることで、その耐久性が証明されています。
ハードウッドを選ぶ際の注意点とメンテナンス
- 施工の難易度
- 非常に硬いため、DIYでの施工は難易度が高いとされています。
- ビスを打つ前には必ず下穴を開ける作業が必要となり、専用の工具や高い技術が求められます。
- ウリンは施工初期にアクが出やすいため、アクによる汚れ対策を考慮する必要があります。
- メンテナンスと経年美化
- 基本的に塗装は不要とされています。
- 塗装をしない場合、太陽の紫外線を浴びることで、徐々に美しいシルバーグレーへと変化していきます。この自然な変化を「経年美化」として楽しむのが醍醐味の一つです。
- 元の色合いを長期間維持したい場合は、木材保護塗料を塗布することも可能です。
初期費用は高価になりますが、その圧倒的な耐久性とメンテナンスの手間を考慮すれば、長期的に見て非常に価値のある投資と言えるでしょう。
4. ソフトウッドのウッドデッキを長持ちさせるポイント
ソフトウッドは、温かみのある風合いと加工のしやすさ、そしてハードウッドに比べて手頃な価格帯から、特にDIYでウッドデッキを製作したいと考える方に人気の高い素材です。
代表的な樹種には、ウエスタンレッドシダーやSPF材、国産の杉や檜などがあります。
<ソフトウッドのメリット・デメリット>
- メリット: その柔らかさから切断やビス打ちが容易で、自分好みのデザインを実現しやすい。
- デメリット: ハードウッドに比べて密度が低く、水分を吸収しやすいため、腐食や害虫のリスクが高い。
このソフトウッドのウッドデッキを長持ちさせるためには、いくつかの重要なポイントを押さえた適切な施工と、継続的なメンテナンスが不可欠となります。
ソフトウッドを長持ちさせるための3つの重要ポイント
1. 木材への徹底した保護処理(設置前)
最も重要なのは、木材への保護処理です。
- 基本: 市販のソフトウッドの多くは、あらかじめ防腐・防蟻剤を加圧注入した「防腐処理木材」ですが、別途表面の保護を行うのが賢明です。
- 塗布の徹底: 設置前には、木材の全面、特に切断面(木口)に木材保護塗料を念入りに塗布することが大切です。
- 理由: 切断面は水分を最も吸収しやすい部分であり、ここから腐食が始まるケースが非常に多いため、二度塗り、三度塗りを徹底しましょう。
2. 構造的な工夫と乾燥対策(施工時)
木材が常に乾燥しやすい状態を保つための構造的な工夫が必要です。
- 通気性の確保: ウッドデッキの床板と根太(下地材)の間には、適切な隙間を設けて通気性を確保します。これにより、雨水が溜まらず、湿気がこもるのを防ぎます。
- 地面との距離: 束石などを利用して地面から十分な高さを確保し、地面からの湿気の影響を最小限に抑えます。
- デッキ下の対策: 雑草が生い茂ると湿気の原因になるため、デッキ下の防草対策も有効です。
3. 定期的なメンテナンス(維持管理)
定期的なメンテナンスを怠らないことが、寿命を延ばすために不可欠です。
- 頻度: 年に1〜2回程度、ウッドデッキの表面の状態をチェックします。
- 手順:
- 汚れを高圧洗浄機などで洗い流す。
- その後、木材保護塗料を再塗装する。
- 重要性: この再塗装は、見た目を美しく保つだけでなく、塗料の撥水効果や防腐・防カビ効果を復活させ、木材の寿命を延ばすために極めて重要です。
- 重点箇所: 人がよく歩く部分や、雨が当たりやすい部分は塗料が劣化しやすいため、重点的に行いましょう。
これらのポイントを確実に実践することで、ソフトウッドの持つ魅力を最大限に引き出しながら、その寿命を大幅に延ばすことが可能になります。手間をかけることで愛着も湧き、自分だけの特別な空間を長く楽しむことができるでしょう。
5. ウッドデッキの色やデザインを選ぶ際のコツ
ウッドデッキの色とデザイン:外観と調和を高めるコツ
ウッドデッキの色とデザインは、住宅全体の外観や庭との調和を大きく左右する重要な要素です。機能性だけでなく、視覚的な満足度を高めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
1.色の選び方:住宅との一体感を出す
ウッドデッキの色は、住宅の外壁やサッシの色と合わせるのが基本セオリーです。
【外壁の色とのセオリー】
- 明るい外壁(白やベージュ系):
- ナチュラルブラウンやライトオーク系の色がよく馴染みます。
- 明るく開放的な印象を与えます。
- モダンな外壁(黒やダークグレー系):
- ウォールナットやダークブラウンといった濃い色を合わせます。
- 重厚感と高級感が生まれ、スタイリッシュな雰囲気を演出できます。
【細部の色との調和】
- サッシの色や玄関ドアの色とトーンを合わせるだけでも、建物との一体感が格段に向上します。
【色の濃淡が与える影響と注意点】
- 明るい色:
- 空間を広く見せる効果があります。
- 土汚れなどが目立ちやすい傾向があります。
- 暗い色:
- 空間がやや引き締まって見える印象を与えます。
- 汚れが目立ちにくいです。
- 特に人工木の場合、太陽光を吸収しやすく、夏場に表面温度が高くなる可能性があるため、裸足での利用を想定する場合は注意が必要です。
2.デザインの選択:広がりと個性を演出する
最も基本的な床板の張り方からフェンス、形状まで、様々な要素でデザインを検討できます。
【床板の張り方】
床板を住宅に対して平行に張るか、垂直に張るかで、空間の感じ方が変わります。
- 垂直方向に張る:
- 奥行きが強調され、空間が広く感じられる効果があります。(リビングから見て)
- 床板の幅:
- 幅の広い板:ゆったりとした落ち着いた雰囲気
- 幅の狭い板:シャープでリズミカルな印象
【フェンスのデザイン】
フェンスは、プライバシーや開放感といった「機能」と「視覚的な印象」を両立させる要素です。
- プライバシー重視:
- 隙間のない目隠しフェンスが適していますが、圧迫感が出る可能性もあります。
- 開放感重視:
- 横張りや縦格子のフェンスなど、視線は適度に遮りつつも光や風を通すデザインが良いでしょう。
- モダンなアクセント:
- アルミなどの異素材と組み合わせることで、モダンなアクセントを加えることが可能です。
【形状の工夫】
単なる四角形にとどまらず、生活動線や利用シーンを考慮して形状を工夫することが、満足度を高める鍵です。
- 敷地や用途に合わせた工夫例:
- 敷地に合わせてL字型にする
- 角を丸くする
- 段差を設けてステージのようにする
デザイン検討の鍵
庭の植栽やアプローチとの動線を考慮し、生活の中でどのように使いたいかを具体的にイメージしながらデザインを検討しましょう。
6. 費用対効果の高いウッドデッキ素材の選び方
ウッドデッキの素材選びにおいて、費用対効果(コストパフォーマンス)を真に高めるためには、初期費用だけでなく、維持管理費用や耐用年数を総合的に考慮したライフサイクルコストの視点が不可欠です。
ライフサイクルコストから見た素材の費用対効果
ウッドデッキの素材は、初期費用(イニシャルコスト)の安さ順に、ソフトウッド(SPF材など) ソフトウッド(防腐処理済・レッドシダー) ハードウッド・人工木となりますが、耐久性やメンテナンス費用(ランニングコスト)はこれと逆の傾向にあります。
1. 初期費用が最も安価な素材(ソフトウッド:SPF材など)
- 初期費用 (イニシャルコスト): 最も安価。DIYでの施工で材料費を大幅に抑えることが可能。
- 耐久性: 低い。メンテナンスを怠ると10年以内に交換が必要になることも。
- 維持管理費用 (ランニングコスト): 高額。数年ごとの大規模な補修や塗装が必須。塗料代や作業時間・労力が見過ごせないコストとなる。
- 適している人: 初期投資を抑えたい方、DIYや頻繁なメンテナンスを楽しみたい方。
2. 中間的な素材(ソフトウッド:レッドシダー、防腐処理材)
- 初期費用: SPF材よりは高くなる。
- 耐久性: 向上する。適切なメンテナンスで10年以上の使用が可能。
- 維持管理費用 (ランニングコスト): 継続的に発生。定期的な塗装は依然として必要。
3. 初期費用が高額だが低メンテナンスな素材(人工木、ハードウッド)
- 初期費用 (イニシャルコスト): 最も高額。材料費が高く、特にハードウッドは施工が難しいため工事費も高くなる傾向がある。
- 耐久性: 極めて高い。ハードウッドは無塗装で20年以上の耐久性を持つ。
- 維持管理費用 (ランニングコスト): 極めて低い(またはほぼゼロ)。
- 人工木: 基本的に塗装が不要で、日常的な清掃のみで美観を保てる。
- ハードウッド: 無塗装で経年変化(シルバーグレー化)を楽しむのであれば、特別なメンテナンスは不要。
- 適している人: 長期的な視点で手間とコストを最小限にしたい方。
ライフサイクルコストで比較する
20年といった長期スパンで見た場合、初期費用が高くともメンテナンスフリーに近い人工木やハードウッドが、結果的に最も費用対効果が高くなる可能性があります。
ソフトウッドでは、数回の再塗装費用や、場合によっては一度の交換費用総額が、初期に投資した人工木やハードウッドの費用を上回るケースが十分に考えられます。
賢明な選択とは、「どれだけ長く、どれだけの手間で、快適に使い続けられるか」を基準に、ご自身の価値観とライフプランに照らし合わせて判断することです。
7. ペットや子どもに優しいウッドデッキ素材の特徴
家族とペットに優しいウッドデッキ素材の選び方
ウッドデッキを小さなお子様やペットにとって安全で快適な空間にするためには、素材を選ぶ際に以下の重要な特徴に注目する必要があります。
1. ささくれの発生しにくさ(安全性)
素足で歩く子どもの足やペットの肉球への怪我を防ぐために、「ささくれ」の発生しにくさが重要です。
- 人工木(樹脂コーティング):
- ささくれが原理的に発生しないため、非常に高い安全性を誇ります。
- ハードウッド:
- 密度が高くささくれが出にくい素材ですが、絶対に発生しないわけではないため、定期的な表面のチェックが有効です。
- 天然木(特に経年劣化したソフトウッド):
- 表面が毛羽立ち、鋭いささくれが発生することがあり、怪我につながる危険性があります。
2. 表面の滑りにくさ(転倒リスクの低減)
雨の日や水濡れによる転倒リスクを軽減するために、表面加工に注目します。
- 溝加工(リブ加工)や、滑り止め効果のある凹凸デザインが施された製品を選ぶと安心です。
- 人工木の中には、濡れた状態での滑りにくさを数値化した「滑り抵抗係数(C.S.R)」を公表している製品があり、一つの判断基準となります。
3. 夏場の表面温度(快適性)
特に人工木(濃い色)は直射日光下で天然木よりも表面温度が高くなり、真夏には素足で歩けないほどの熱さになることがあります。
- 対策と製品選び:
- 比較的熱をためにくい明るい色の製品を選びましょう。
- 熱を反射する顔料を配合したタイプや、内部を中空構造にして温度上昇を抑制する人工木も開発されています。
- シェードやオーニングで日陰を作る、使用前に打ち水をするなどの工夫も有効です。
4. 化学物質の安全性(健康への配慮)
防腐処理木材の場合、使用されている薬剤の安全性を確認することが重要です。
- 天然のハードウッドや、薬剤を使用しない人工木は、この点での安心感が高いです。
- 防腐処理木材を選ぶ際は、ペットがデッキを舐めたり、子どもがハイハイしたりすることを考慮し、安全基準を満たした薬剤(例:JISやJAS規格に適合したACQやCUAZなど)が使用されているかを確認しましょう。
5. デッキの隙間(挟まり防止)
床板と床板の間の隙間が広すぎると、子どもの指やおもちゃ、ペットの爪が挟まる可能性があります。
- 一般的に5mm程度の隙間が適切とされています。設計段階で施工業者と確認することが重要です。
これらの特徴を総合的に考慮し、家族全員が安心して楽しめる素材を選ぶことが、ウッドデッキを真の憩いの場にするための鍵となります。
8. 防腐処理された木材を選ぶ際の注意点と選び方
9. デザイン性と耐久性を兼ね備えた最新ウッドデッキ素材
ウッドデッキの素材は、伝統的な天然木や人工木だけでなく、技術の進歩により高いデザイン性、耐久性、機能性を持つ新たな選択肢が登場しています。ここでは、注目すべき最新のウッドデッキ素材を紹介します。
ウッドデッキの最新素材とその特徴
1. 被覆(ひふく)タイプの人工木(キャップ材)
従来の人工木のデメリットを克服するために開発された、人工木の進化形です。
- 構造と機能:
- 従来の人工木(木粉と樹脂の混合材)の芯材の周りを、高耐久な樹脂で完全にコーティング(キャップ)したものです。
- この外側の被覆層が、傷、汚れ、紫外線に対する耐性を飛躍的に向上させます。
- メリット:
- 内部への水分の浸透を遮断するため、カビの発生や色褪せを長期間抑制します。
- 被覆層の技術進化により、リアルな木目や凹凸、色の濃淡を表現でき、天然木と見分けがつかないほどの高い意匠性を実現しています。
- 特徴: メンテナンスの容易さはそのままに、美観の持続性と質感を高めています。
2. 熱処理木材(サーモウッド)
薬剤を一切使用せず、環境負荷を抑えた高機能な天然木素材です。
- 処理方法:
- 天然木に高温の熱と水蒸気のみで処理を施します。
- 効果とメリット:
- 木材内部の組織が変化し、水分を吸収しにくい性質に変わります。
- これにより、反りや狂いが大幅に減少し(寸法安定性の向上)、腐朽菌が繁殖しにくい環境が作られるため、耐久性が格段に向上します。
- 薬剤不使用のため、環境負荷が低く、人体にも安全です。
- 木材全体が深みのある美しい褐色に変化し、独特の風合いを持ちます。
- 特徴: ソフトウッドをベースにしながらも、ハードウッドに近い耐久性を付与した、環境配慮型の高機能素材です。
3. アルミ製ウッドデッキ
木の質感よりも究極の耐久性とメンテナンスフリーを追求した選択肢です。
- 素材特性:
- 錆びに強く、腐食や害虫の心配が一切ありません。
- 軽量でありながら強度が高く、経年による劣化がほとんどないため、半永久的に使用が可能です。
- 意匠性:
- 近年、表面に精巧な木目調のラッピングや塗装を施した製品が増えており、遠目には木製と見間違うほどの質感を持つものもあります。
- その他の利点:
- 不燃材であるため、防火地域での設置にも適しています。
これらの最新素材は、従来の素材より高価な傾向がありますが、それぞれが独自の付加価値を持っています。
- 質感と耐久性の両立: 熱処理木材
- リアルな見た目と手軽さ: 被覆タイプの人工木
このように、ご自身のこだわりやニーズに合わせて検討することで、理想のウッドデッキ空間をより高いレベルで実現することが可能です。
10. 実際の施工事例から学ぶ最適なウッドデッキ素材選び
これまで様々な素材の特徴を解説してきましたが、最終的に最適な素材を選ぶためには、具体的なライフスタイルや設置環境を想定し、「どのような暮らしを実現したいか」を明確にすることが重要です。ここでは、いくつかの仮想的な施工事例を通して、どのような場合にどの素材が適しているかを考えてみましょう。
ライフスタイル別:最適なウッドデッキ素材の選び方
事例1:忙しい共働きファミリー(ローメンテナンスと安全性の重視)
想定する暮らし: 共働きで忙しく、週末はゆっくり過ごしたい。庭には子どもが遊べる安全なスペースが欲しい。メンテナンスに多くの時間を割くことは現実的ではない。
- 最適な素材: 人工木
- 理由:
- メンテナンスが容易で、手間がかかりません。
- ささくれの心配がないため、小さなお子様が裸足で走り回るのに安全です。
- 夏場の表面温度上昇を考慮し、薄めの明るいカラーを選ぶのが賢明です。
- 実現できる価値: ローメンテナンスで安全な、家族団らんの空間を長期間にわたって維持できます。
事例2:ガーデニング好きのご夫婦(質感と手入れの喜びの重視)
想定する暮らし: 定年後、趣味のガーデニングを楽しみながら、本物の木の質感に囲まれて暮らしたい。DIYも好きで、少しずつ手をかけることに喜びを感じる。
- 最適な素材: ソフトウッド(ウエスタンレッドシダーなど)
- 理由:
- 初期費用を抑えやすく、DIYでの組み立てに適しています。
- 本物の木の質感と温かみが楽しめます。
- 自分たちで木材保護塗料を塗り、定期的に手入れをすることが暮らしの楽しみの一部となります。
- 実現できる価値: 経年による変化を楽しみながら、丹精込めて育てた庭と調和する、愛着の深い空間が実現できます。
事例3:海沿いの別荘(究極の耐久性と重厚感の重視)
想定する暮らし: 海沿いの別荘に、潮風や強い日差しにも負けない、重厚感のあるテラスを作りたい。メンテナンスのために頻繁に訪れることは難しい。
- 最適な素材: ハードウッド(ウリンやイペなど)または人工木
- 理由:
- 高い耐候性が求められる過酷な環境(塩害、湿気、紫外線)に強い素材が理想です。
- ハードウッドは非常に高い耐久性を持ち、無塗装で20年以上の使用が可能で、ラグジュアリーな雰囲気を演出できます。
- 人工木も腐食の心配が全くなく、メンテナンスフリーに近い性能が別荘という用途にマッチします。
- 実現できる価値: 初期投資は高くとも、メンテナンスフリーに近い性能により、海辺の風景と相まって趣深い景観を長期にわたり保つことができます。
あなたの理想を形にする、唯一無二のウッドデッキ選び
ウッドデッキの素材選びは、単に機能や価格を比較する作業ではありません。それは、これから始まる新しい暮らしのスタイルや、そこで過ごす大切な時間をデザインする、創造的なプロセスです。
最終的には、ご自身のライフスタイル、予算、そして「ウッドデッキでどんな時間を過ごしたいか」というビジョンを最も大切にしてください。
- 本物の木の温もりと手入れの喜びを求めるソフトウッド(メンテナンスを楽しむ)
- 多忙な日常の中で手間なく快適さを求める人工木(ローメンテナンスを享受する)
カタログスペックだけでなく、そこで繰り広げられる未来の生活を想像することが、後悔しない素材選びの最も大切なステップなのです。この情報が、あなたの理想の暮らしを形にする、唯一無二のウッドデッキ選びの一助となることを願っています。
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Flow
施工事例の流れ



