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2026年3月3日
スタイル別に考えるテラス設計のデザインアイデア
住宅スタイルに合わせた5つの主要テラスデザインと最適な素材選びの基準
リゾート感や和モダン、北欧風など、目指す雰囲気を実現するための具体的なコーディネート術
耐久性と意匠性を両立させ、メンテナンス負担を軽減するためのプロの視点による設計ポイント
自宅にテラスを設けようと考えたとき、多くの方が「どんなデザインにすれば後悔しないだろうか」と悩まれます。テラスは単なる洗濯物干し場や通路ではなく、リビングの延長として「もう一つの部屋」の役割を果たす重要な空間です。しかし、建物の外観とチグハグなデザインを選んでしまったり、素材の特性を理解せずに施工してしまったりすると、数年後に使い勝手の悪さや劣化に悩まされることも少なくありません。
これから、シンプルモダンからリゾート風、和モダンまで、スタイル別のテラス設計における黄金比と素材選びの秘訣を詳しく解説します。熟練の視点から、失敗しないための設計アイデアを整理しました。あなたのご自宅に最適なテラスの形を見つけるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1. シンプルモダンなテラス設計のポイントと素材の選び方
- 2. ナチュラルガーデンと調和する木製テラスのデザインアイデア
- 3. リゾート感あふれる南国風テラスの作り方とコーディネート術
- 4. 和モダンな家に合う石材や竹を活かしたテラスの設計方法
- 5. ヨーロピアンテイストのテラスを作るための家具と装飾の選び方
- 6. 屋上やバルコニーでも取り入れられるコンパクトなテラスデザイン
- 7. ウッドデッキとテラスを一体化させたスタイリッシュな設計例
- 8. 高低差を活かした段差のあるテラス設計のメリットと施工ポイント
- 9. 実例から学ぶスタイル別テラス設計の成功事例
- 10. 外構全体と調和させたトータルデザインのテラス設計の考え方
1. シンプルモダンなテラス設計のポイントと素材の選び方
現代の住宅デザインにおいて最も人気が高いのがシンプルモダンです。無駄を削ぎ落とした直線的な美しさが特徴ですが、シンプルゆえに素材の質感が空間の完成度を左右すると言っても過言ではありません。ここでは、都会的で洗練されたテラスを作るための具体的な設計手法をお伝えします。
ミニマリズムを追求する直線美の構成
シンプルモダンなテラスでは、余計な装飾を排除し、水平と垂直のラインを強調することが基本です。建物本体のサッシのラインや壁面とテラスの縁を合わせることで、一体感が生まれます。特に、リビングの床の高さをテラスと同じにする「フラット設計」を採用すると、視覚的に空間が広がり、開放的な印象を与えます。
- フレームの細さ: アルミ形材などのテラス屋根を選ぶ際は、極力フレームが細く、ボルトなどの接合部が見えないノイズレスなデザインを選びましょう。
- 色調の統一: グレー、ブラック、ホワイトのモノトーンで統一することで、モダンさが引き立ちます。建物に使われているアクセントカラーと合わせるのがコツです。
- 照明の隠し方: 直接的な照明器具ではなく、間接照明をテラスの段差や壁面に仕込むことで、夜間の高級感を演出できます。
耐久性と意匠性を兼ね備えたモダン素材
モダンな雰囲気を出すためには、無機質な素材をいかに美しく使いこなすかが重要です。タイルやコンクリートは定番ですが、その中でも種類選びにこだわりましょう。
テラス空間をより洗練させる家具選び
ハード面(設計)が決まったら、ソフト面(家具)での味付けが必要です。シンプルモダンなテラスには、スチール製や樹脂製のラタン家具など、「人工的で整った質感」のアイテムが馴染みます。
- モノトーンのファブリック: クッションやラグにグレーやネイビーを取り入れることで、硬質な素材の中にも居住性の高さを感じさせることができます。
- プランターの統一: 植物を置く場合は、スクエア型のコンクリート調プランターなどを用い、植物の「有機的な形」とプランターの「幾何学的な形」のコントラストを楽しみましょう。
2. ナチュラルガーデンと調和する木製テラスのデザインアイデア
自然の温もりを感じるナチュラルガーデンには、天然木を主役にしたテラスが欠かせません。木製テラスは時間の経過とともに風合いが変化し、庭の草木と馴染んでいく過程も魅力の一つです。しかし、木材は種類によって寿命やメンテナンス頻度が劇的に変わるため、慎重な選定が求められます。
天然木の魅力を引き出すウッドデッキ設計
木製テラスの醍醐味は、その「柔らかさ」にあります。金属やタイルにはない足触りの良さは、素足で歩きたくなるような心地よさを提供してくれます。設計時には、庭の植栽との距離感を意識しましょう。
- ステップの工夫: 庭へと続く階段を広く取ることで、ベンチ代わりとして腰掛けるスペースになります。
- 樹木を囲む穴あき設計: 既存のシンボルツリーを避けるのではなく、あえてデッキの中に木が貫通するように設計すると、木陰を活かした自然なテラスになります。
- 経年変化を楽しむカラー: 最初は明るい茶色でも、年月を経て「シルバーグレー」へと変化します。この変化をデザインの一部として捉えるのがナチュラルスタイルの粋です。
長持ちさせるためのハードウッドの選択
「木は腐りやすい」というイメージがありますが、耐久性の高い「ハードウッド」を選ぶことで、メンテナンスの手間を最小限に抑えられます。
ナチュラルスタイルを完成させる小物使い
木製テラスには、使い込まれたアンティーク調のアイテムや、手作り感のある小物がよく似合います。
- 木製ベンチとテーブル: デッキと同じ素材で造作家具を作ると、空間に統一感が生まれます。
- ハンギングバスケット: パーゴラ(木製の棚)を設置し、そこからアイビーなどのつる性植物を吊るすことで、立体的な緑の空間を演出できます。
- ランタン型の照明: 夜間は柔らかな電球色のランタンを置くことで、キャンプのようなワクワク感を日常に取り入れられます。
3. リゾート感あふれる南国風テラスの作り方とコーディネート術
「自宅にいながら旅行気分を味わいたい」という願いを叶えるのが、バリ島やハワイのヴィラを彷彿とさせるリゾート風テラスです。このスタイルの鍵は、ゆったりとした「非日常感」を演出するためのゾーニングにあります。
ラグジュアリーなリゾート空間の構成
リゾート風テラスを作る際は、単なる「通り道」としてのスペースではなく、一日中過ごせる「居場所」としての設計を重視します。
- アウトドアリビングとしての広さ: ソファセットをゆとりを持って置けるよう、最低でも6畳から8畳程度の広さを確保したいところです。
- 目隠しフェンスの重要性: 非日常感を損なわないよう、近隣からの視線を完全に遮断する高いフェンスが必要です。木目調のルーバーや、石積み風の壁を設けると雰囲気が出ます。
- 水音の演出: 小さな噴水や水盤(ウォーターパネル)を設置することで、水の音によるリラックス効果が加わり、リゾート感が一気に高まります。
南国感を高める素材と植栽のテクニック
リゾートスタイルを象徴する素材といえば、自然素材のテクスチャを活かしたものです。
ファニチャーコーディネートの極意
リゾートテラスを完成させるのは、やはり家具です。特に「シンセティックラタン(人工ラタン)」は雨に強く、デザインも豊富なため最適です。
- デイベッドの導入: 椅子ではなく、横になれるデイベッドやハンモックを置くことで、究極のリラックススペースが完成します。
- アースカラーの配色: ブラウン、ベージュ、カーキなどのアースカラーをベースに、ターコイズブルーなどの差し色を入れると、海外のビーチリゾートのような印象になります。
- ファイアーピット(焚き火台): 最近のトレンドとして、ガス式のファイアーピットを中央に配した設計が人気です。火を囲む時間は、心からの癒やしを与えてくれます。
4. 和モダンな家に合う石材や竹を活かしたテラスの設計方法
日本の伝統的な美意識と現代の利便性を掛け合わせた「和モダン」スタイルは、静寂で落ち着きのあるテラスを求めている方に最適です。ここでは、「引き算の美学」を取り入れ、光と影のコントラストを活かす設計について考察します。
静寂を演出する「石」の使い分け
和モダンなテラスにおいて、石材は最も重要なエレメントです。単に敷き詰めるだけでなく、形や質感の異なる石を組み合わせることで、奥行きのある表情が生まれます。
- 延段(のべだん)と砂利: 平らな石を並べた通路(延段)の周囲に、白川砂利や黒玉石を敷き詰めると、コントラストが際立ち、空間が引き締まります。
- 景石(けいせき)の配置: テラスの一角に自然な形の大きな石を置くことで、そこが視線の終点(アイストップ)となり、庭全体のバランスが整います。
- 濡れ縁を現代風にアレンジ: 伝統的な濡れ縁を、高耐久の人工木やタイルで再現。縁側のような心地よさを現代のメンテナンス性で実現します。
竹や木格子による「透け感」のコントロール
和の風情を感じさせる素材として「竹」は秀逸ですが、天然の竹は劣化が早いため、最近ではアルミ製の樹脂コーティング竹垣や、天然木の格子スクリーンが多用されます。
和モダンテラスを成功させる3つのコツ
- ●
縦格子の採用: 直線を多用した縦格子は、視線を適度に遮りつつ、光と風を通す和モダンの象徴的な意匠です。 - ●
「間」を意識した配置: 家具や植物を詰め込みすぎず、何もない余白(地面の模様など)を美しく見せるように意識します。 - ●
盆栽やモミジの活用: 繊細な枝振りのモミジを一本植えるだけで、四季の変化をダイレクトに感じられるテラスになります。
夜間を彩る和のライティング
和モダンテラスは、夜の表情も格別です。煌々と照らすのではなく、足元やシンボルツリーを下から優しく照らす手法を選びます。
- 行燈(あんどん)風ライト: 置き型の四角い照明を配置することで、旅館のような情緒を演出できます。
- シルエットライティング: 竹垣の後ろからライトを当てて格子の影を床に落としたり、モミジの影を壁面に映したりする手法は、和のデザインに非常にマッチします。
関連記事はこちら:ライフスタイルに合わせたテラス設計のアイデア
5. ヨーロピアンテイストのテラスを作るための家具と装飾の選び方
フランスのカフェや英国のイングリッシュガーデンのような「ヨーロピアンテイスト」は、華やかさと歴史を感じさせる重厚感が魅力です。このスタイルを実現するには、デコラティブな曲線ラインと、質感にこだわったアンティーク素材の使い方がポイントになります。
アンティーク感を演出する床材と壁面
ヨーロピアンなテラスでは、ピカピカの新しい素材よりも、少し「使い込まれた風合い」がある素材が好まれます。
- アンティークレンガ: 色ムラがあり、角が少し丸まったレンガをランダムに敷き詰めることで、ヨーロッパの古道を思わせる雰囲気が出ます。
- 乱形石(らんけいいし)貼り: 不規則な形の天然石をパズルのように組み合わせる手法は、プロバンス風や南欧風のテラスに欠かせない要素です。
- アイアン素材の活用: 手すりやフェンスに唐草模様などの曲線を用いたアイアン(鉄製)パーツを取り入れると、一気にヨーロッパの街並みのようになります。
エレガントな家具選びとファブリック
家具選びでは、デザインの「繊細さ」を重視します。重厚な木製よりも、細身のアイアン家具の方がこのスタイルには馴染みやすいです。
- カフェテーブルセット: 小ぶりな円形テーブルと背もたれに装飾のある椅子のセットは、テラスを優雅なティータイムの場に変えてくれます。
- オーニング(日除け)の導入: ストライプ柄や深みのある単色のキャンバス地のオーニングは、実用性だけでなく、ヨーロピアンな外観を決定づけるアイコンになります。
- ガーデンオブジェの配置: テラコッタの大きな鉢や、小さな石像、バードバスなどを配置することで、物語性のある庭が完成します。
ヨーロピアンスタイルの装飾チェックリスト
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カラーパレットの固定: ホワイト×ブルー(地中海風)や、ベージュ×テラコッタ(南仏風)など、コンセプトに合わせた色選びを徹底する。 - ●
バラやハーブの植栽: 香りの良い植物をテラスの周囲に植えることで、五感で楽しむヨーロピアンスタイルが完成します。 - ●
ランタンやキャンドル: 夜間はガラス製のランタンに灯をともし、ロマンチックな雰囲気を楽しみましょう。
以上のように、スタイルによって選ぶべき素材や設計の優先順位は大きく異なります。大切なのは、「そのテラスで誰と、どのように過ごしたいか」というストーリーを明確にすることです。
6. 屋上やバルコニーでも取り入れられるコンパクトなテラスデザイン
限られたスペースである屋上やバルコニーを「単なる余剰空間」から「贅沢なプライベートテラス」へと変貌させるには、面積の制約を逆手に取った「密度」と「視覚的な広がり」のコントロールが不可欠です。都市部の住宅でも実現可能な、コンパクトテラスの設計ノウハウを深掘りします。
限られた広さを最大化するレイアウトの法則
狭い場所では、床面を可能な限り広く見せることが基本です。そのためには、家具や植物を分散させず、一点に集中させる「フォーカルポイント」の設定が有効です。
- 壁面活用による空間創出: 地面にプランターを並べると歩行スペースが削られます。壁面にラティスやハンギングレールを設置し、垂直方向に緑を配置することで、床面積を有効活用できます。
- 家具のスケール感: 圧迫感を抑えるため、背もたれが低いロータイプの家具や、視線が抜けるメッシュ素材の椅子を選びます。
- 床材の斜め貼り: タイルやウッドパネルをバルコニーの長辺に対して斜め(45度)に敷くと、奥行きが強調され、実際よりも広く感じられる視覚効果があります。
屋上・バルコニー特有の条件下での素材選び
地上と異なり、上層階のテラスは「風の影響」と「重量制限」という2つの大きな制約があります。安全性を担保しつつ、上質な空間を作るための素材選定を以下の表にまとめました。
「おこもり感」を醸成するライティング術
夜のコンパクトテラスは、照明一つで最高の隠れ家になります。ポイントは「低い位置」に明かりを点在させることです。
- LEDストリングライト: 手すりや壁面に沿わせて光のラインを作ることで、空間の境界線が緩やかに強調されます。
- ソーラー式スポットライト: コンセントがないバルコニーでも、昼間の太陽光で蓄電し、夜間に植栽を照らすことが可能です。
- キャンドルランタン: テーブルの上に一つ置くだけで、視線が中央に集まり、周囲の狭さを感じさせない心理的効果が生まれます。
参考ページ:テラス設計で快適な屋外空間を作る基本ポイント
7. ウッドデッキとテラスを一体化させたスタイリッシュな設計例
「ウッドデッキの温もり」と「タイルの機能性」を両立させるハイブリッド設計は、近年非常に注目されているスタイルです。異なる素材を組み合わせることで、空間の用途を視覚的に分けるゾーニング効果が期待できます。
異素材ミックスによる空間の多機能化
全面をウッドデッキにするとメンテナンスの面積が増え、全面をタイルにすると少し冷たい印象になりがちです。これらを一体化させることで、デザインのアクセントが生まれます。
- 食事エリアとくつろぎエリアの分離: BBQコンロを置く場所は掃除がしやすい「タイル」、ソファを置いて裸足で過ごす場所は「ウッドデッキ」と使い分けます。
- 境界線のデザイン: デッキとタイルの境目を直線ではなく、あえて一部を食い込ませるような複雑な形状にすることで、プロフェッショナルな意匠性を演出できます。
- 段差の有効活用: デッキ部分を一段高くすることで、タイルエリアに座るゲストとの視線の高さを合わせたり、デッキの縁をベンチとして利用したりすることが可能です。
素材の相性とカラーバランスの黄金比
異なる素材を隣接させる場合、色のトーンを合わせるか、逆のコントラストを強調するかの二択になります。
一体化設計における施工上の留意点
見た目が美しくても、機能的に問題があっては台無しです。一体化テラスを成功させるためのプロのチェックポイントをまとめました。
- 水勾配の調整: タイルは水が溜まらないよう傾斜が必要ですが、デッキは水平が基本です。接合部で不自然な段差ができないよう、下地段階での緻密な計算が求められます。
- 伸縮率の差: 木材(人工木含む)と石材は熱や湿気による膨張率が異なります。数ミリのクリアランス(隙間)を空けて接合することで、将来的なひずみや破損を防ぎます。
- 排水経路の確保: デッキの下に流れ込んだ雨水が、タイルエリアの排水溝へスムーズに流れる構造に設計します。
8. 高低差を活かした段差のあるテラス設計のメリットと施工ポイント
敷地に傾斜があったり、リビングと庭に大きな高低差があったりする場合、それを「課題」ではなく「デザインの武器」として活用すべきです。スキップフロア構造のテラスは、平面的なテラスにはない立体的な美しさと実用性を兼ね備えています。
立体的なゾーニングが生み出す付加価値
段差を作ることで、壁や仕切りを設けなくても心理的に異なる空間として認識されます。
- ピット(沈み込み)リビング: 一部を一段低く設計し、そこをソファスペースにすることで、囲まれた安心感のある「ラウンジ」のような空間が作れます。
- 展望エリアの創出: 庭を見渡せる高い位置に小さなステージ状のテラスを設けることで、敷地全体の景観を楽しむスポットになります。
- ベンチ機能の統合: 段差そのものを40cm程度の高さに設定すれば、椅子を置かなくても人が座れるベンチとして機能し、多人数での集まりにも対応できます。
高低差設計を安全に実現するための工夫
段差は魅力である一方、転倒や転落のリスクも伴います。以下のポイントを意識して設計しましょう。
多段テラスの安全・快適チェックリスト
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視認性の確保: 段差の端に色違いの素材やLEDライトを配置し、暗がりでも踏み外さない工夫を施します。 - ●
手すりの意匠性: 落下防止の手すりを設置する場合、視界を遮らないワイヤーテンションタイプや強化ガラスタイプを採用します。 - ●
植栽による緩衝: 高い段差の直下には、万が一の際のクッションとなるような低木を植えることで、安全性を高めつつ景観を整えます。
階段部分の歩きやすさと黄金比
テラスを繋ぐ階段は、デザイン性だけでなく歩きやすさが命です。
- 踏面(ふみづら)と蹴上げ(けあげ): 屋外階段の場合、踏面は30cm以上、蹴上げは15cm以下に抑えると、ゆったりとした優雅な登り心地になります。
- 踊り場の活用: 段数が多い場合は、途中に広い踊り場を設け、そこに鉢植えを置くなどの装飾を施すと、階段そのものが鑑賞の対象になります。
9. 実例から学ぶスタイル別テラス設計の成功事例
理想のテラスを実現するためには、実際の成功事例から「なぜその設計が優れているのか」を分析することが近道です。ここでは、異なるライフスタイルに合わせて最適化された3つのケーススタディを紹介します。
共働き夫婦が選んだ「全天候型・メンテナンスフリー」テラス
忙しい日常の中で、手入れに時間をかけたくない夫婦が選んだのは、大判タイルとアルミ製パーゴラを組み合わせたスタイルです。
- 成功の鍵: 自動開閉式のルーバー屋根を設置。雨が降れば自動で閉じ、晴れれば光を取り込む設定にしたことで、天候に左右されず洗濯物を干したり読書をしたりすることが可能になりました。
- 素材の妙: 木目調のアルミフェンスを採用。本物の木のような見た目ながら、塗装の塗り直しが不要なため、10年後も変わらない美しさを約束しています。
子育て世代の「公園のような遊び場」テラス
小さな子供がいる家庭では、安全性が最優先されます。リビングから一続きの広いテラスに「段差をなくした人工芝」を敷き詰めました。
- 工夫されたポイント: 人工芝の下に防草シートと衝撃吸収マットを施工。子供が転んでも怪我をしにくく、夏場はビニールプールを広げてそのまま楽しめます。
- 親の視点: キッチンからテラスが死角なく見渡せるように設計。家事をしながら子供の遊ぶ姿を確認できる「見守り動線」が成功の要因です。
シニア世代の「四季を愛でる和風」テラス
落ち着いた時間を過ごしたいシニア世代には、石材と水の流れを組み合わせた和モダンの事例が参考になります。
- 成功の鍵: 立ったまま作業できる「高床式の菜園スペース」をテラスの一角に設置。腰への負担を減らしつつ、趣味の園芸を楽しめる工夫がなされています。
- 演出のこだわり: 夜間にライトアップされる「つくばい」を配置。静かな夜に水音を聞きながら、テラスで夫婦でお茶を楽しむ時間は、人生の質を高める最高の贅沢です。
10. 外構全体と調和させたトータルデザインのテラス設計の考え方
テラスは単体で存在するものではありません。門扉、カーポート、植栽、そして何より建物本体との調和が取れて初めて、住宅の資産価値を高める「トータルエクステリア」が完成します。
建物と外構を繋ぐ「中間領域」としての設計
優れたテラス設計は、室内と屋外の境界を曖昧にします。これを建築用語で「中間領域」と呼びます。
- 天井の連続性: リビングの天井と同じ素材や色の軒天をテラス屋根にも採用することで、室内が外まで伸びているような錯覚を生み出します。
- 床材の貫通: 室内用の床材に極めて近いデザインのアウトドア用タイルをテラスに敷くことで、視覚的な断絶をなくします。
- 照明のシンクロ: リビングの照明とテラスの照明を連動させ、同じ色温度(ケルビン)に設定することで、夜間の統一感が飛躍的に向上します。
失敗しないための「引き算」の重要性
多くの要望を詰め込みすぎると、結果的にゴチャゴチャとした印象になりがちです。
洗練されたトータルデザインのための3要素
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メインカラーの限定: 使用する色は、建物の外壁色を含めて「3色以内」に抑えるのが、品格を保つ鉄則です。 - ●
ラインの整理: フェンスの横桟のライン、タイルの目地、建物の窓枠。これらのラインを極力揃えるだけで、空間は驚くほど整います。 - ●
「見せない」美学: 雨樋やエアコンの室外機、物置など、生活感が出るものはテラスの主役から隠すか、格子などで目隠しをする設計を徹底します。
将来のライフスタイル変化を見据えて
テラスは一度作ると数十年使い続けるものです。今のニーズだけでなく、将来の家族構成の変化(子供の自立、自身の高齢化など)を見越し、「後から機能を加えられる」柔軟性を持たせておきましょう。例えば、将来的に手すりを付けるための下地をあらかじめ入れておいたり、電源コンセントを多めに配置しておいたりする配慮が、10年後の満足度を左右します。
テラス設計で理想の暮らしを具現化するために
本稿では、シンプルモダンから和モダン、リゾート風まで、多様なスタイル別のテラス設計アイデアを詳しく見てきました。テラス作りにおいて最も重要なことは、単なる見た目の流行を追うのではなく、あなたのライフスタイルに根ざした素材と機能を論理的に選定することです。
テラスは「家の外にあるもう一つのリビング」であり、日々のストレスをリセットし、家族との絆を深めるための投資でもあります。耐久性の高いハードウッドや大判タイル、そして空間を立体的に見せる段差やライティングを組み合わせることで、10年、20年と愛せる空間が完成します。
まずは、今日からできる一歩として、以下の2点を実践してみてください。
- 時間帯による光の入り方を観察する: テラスを予定している場所に立ち、朝・昼・夕方でどのように日差しが変化するか、近隣からの視線がどこから来るかをメモしてください。これが設計の最も重要な基礎データになります。
- 「絶対にやりたいこと」を3つに絞る: 「BBQがしたい」「朝のコーヒーを飲みたい」「子供を遊ばせたい」など、優先順位を明確にすることで、迷いのない素材選びが可能になります。
理想のテラスは、あなたの丁寧な観察と想像力から始まります。本稿のアイデアが、心豊かな暮らしを実現するきっかけとなれば幸いです。
テラス設計に関するよくある質問
A. 耐久性とメンテナンス性の面では、一般的にタイルテラスの方が優れています。
タイルは色褪せや腐食がほとんどなく、高圧洗浄などで簡単に汚れを落とせます。ウッドデッキも「ハードウッド」や「人工木」を選べば20年以上の耐用年数が期待できますが、木特有の風合いを楽しむ分、定期的な点検や清掃の意識が必要です。
A. はい、壁面活用と家具のスケール調整で十分に本格的な空間が作れます。
床にジョイントタイルを敷くだけでも印象は激変します。さらに壁面にグリーンを配置し、視線が抜けるコンパクトな家具を選ぶことで、狭さを感じさせない「おこもり感」のある上質なテラスが実現可能です。
A. 用途によりますが、多目的に使いたいなら屋根(またはシェード)の設置を強く推奨します。
屋根があることで、夏の直射日光を遮り、小雨の日でもテラスを利用できます。また、家具の劣化を防ぐ効果も大きいです。固定式屋根が難しい場合は、必要な時だけ広げるオーニングやパラソルでも十分な効果が得られます。
A. 「基礎(下地)の水平出し」と「排水対策」の2点が最も重要です。
表面の仕上げが綺麗でも、基礎が不安定だと数年でガタつきや沈み込みが発生します。また、家の外壁に向かって水が流れないよう、適切な勾配をつけることも建物自体を守るために不可欠な要素です。
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