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お役立ち情報
2026年2月13日
四季を楽しむガーデンデザインのアイデア
春の爆発的な開花から冬の静寂まで、一年を通して見頃が続く植栽計画
夏の猛暑や冬の寒さでも庭を美しく保つための具体的なデザイン手法
メンテナンスの手間を季節ごとに分散させ、無理なく管理するプロのコツ
「春は花がいっぱいで綺麗だけれど、夏以降は雑草だらけで見る影もない」「冬の庭が茶色一色で寂しすぎる」……。そんな悩みを抱えていませんか?日本の四季は美しいものですが、ガーデニングにおいては、その劇的な気候変化が管理の難しさにもつながります。
しかし、プロのガーデンデザイナーは、季節ごとに主役となる植物を入れ替える「リレー植栽」や、植物の骨格(フォルム)を活かす手法を用いて、365日いつでも美しい庭を作り上げています。四季折々の変化を「手間」ではなく「喜び」に変えるためには、少しの知識と計画が必要です。
これから、春・夏・秋・冬それぞれの季節を最大限に楽しむための具体的なデザインアイデアと、長く快適に維持するための管理のコツを解説していきます。窓の外を見るのが毎日楽しみになる、そんな庭づくりのヒントを持ち帰ってください。
目次
1. 春の花を活かしたガーデンデザインのポイント
「高さ」のレイヤー構造で作る立体感
春は一年で最も多くの植物が開花する季節です。ホームセンターには色とりどりの苗が並び、つい目についたものを片っ端から買って植えたくなりますが、ここで一度立ち止まって「デザイン」を意識してみましょう。春の庭をプロっぽく見せる最大のコツは、植物の「高さ」を意識したレイヤー(層)構造を作ることです。
地面に張り付くような低い花(パンジーやビオラ)ばかりでは、平面的な印象になってしまいます。以下の3つの層を意識して配置してみてください。
- 後方(ハイレイヤー): ジギタリスやデルフィニウムなど、背が高く縦のラインを強調する植物。背景となり奥行きを生みます。
- 中央(ミドルレイヤー): マーガレットやラベンダーなど、膝丈ほどのボリュームのある植物。庭の主役となります。
- 前方(ローレイヤー): アリッサムやネモフィラなど、地面を覆う植物。土を隠し、足元を彩ります。
球根植物と宿根草の「ダブルデッカー植え」
春の主役といえばチューリップやスイセンなどの球根植物ですが、花が終わった後に残る枯れ葉の処理に困ったことはありませんか?球根植物は光合成のために葉を残さなければなりませんが、茶色くなった葉は美観を損ねます。
そこでおすすめなのが、球根植物と宿根草(しゅっこんそう)を組み合わせるテクニックです。宿根草が芽吹いて葉を広げるタイミングで、球根の花が終わりを迎えるように計算して植えます。すると、宿根草の新しい葉が、球根の枯れゆく葉を自然に隠してくれるのです。これを「カモフラージュ植栽」とも呼びます。
春の開花リレーを途切れさせない組み合わせ
「春」と一口に言っても、3月の早春から5月の晩春まで、時期によって咲く花は全く異なります。常に何かが咲いている状態を作るためには、開花時期を少しずつずらした品種選びが重要です。
以下に、春の庭を彩るおすすめの開花リレー表を作成しました。これを参考に植栽計画を立ててみてください。
関連記事:庭の印象を決めるカラーとマテリアルのガーデンデザイン
2. 夏の暑さ対策を考えた庭のレイアウト
「視覚的な涼」を取り入れるカラーコーディネート
近年の日本の夏は過酷な暑さとなり、庭に出るのも億劫になりがちです。そんな夏ガーデンを少しでも快適にするためには、「寒色系(クールカラー)」の花を取り入れるのが効果的です。
赤やオレンジといった暖色系の花はエネルギーを感じさせますが、真夏には少々暑苦しく感じることがあります。一方、ブルー、パープル、ホワイト、シルバーリーフといった寒色系の植物は、見る人の体感温度を下げてくれる心理効果があります。「アメリカンブルー」や「ルリマツリ」などの鮮やかな青い花や、白い「アナベル(アジサイ)」を群生させることで、清涼感のあるオアシスのような空間を演出できます。
植物を熱波から守る「シェードガーデン」の構築
人間がつらいように、植物にとっても夏の直射日光と高温は大きなストレスです。特に西日は強烈で、葉焼けや水切れの原因となります。夏を見据えたデザインでは、意図的に「日陰(シェード)」を作ることが重要です。
落葉樹(夏は葉が茂り日陰を作り、冬は葉が落ちて日差しを通す木)を南西側に植え、その足元に直射日光に弱い植物を配置します。また、パーゴラやアーチにつる性植物(ゴーヤやヘチマなどの緑のカーテン、あるいはノウゼンカズラなど)を絡ませて、自然の日除けを作るのも良いでしょう。日陰があることで、庭の中に微気候(小さな気象環境)が生まれ、風が抜けやすくなります。
乾燥に強い「ドライガーデン」の要素を取り入れる
夏場の毎日の水やりは重労働ですし、旅行などで家を空ける際の心配事でもあります。そこで、庭の一部にオーストラリアや地中海沿岸など、乾燥地帯原産の植物を取り入れたエリアを作ってみてはいかがでしょうか。
「オリーブ」「ローズマリー」「ラベンダー」「アガベ」などは、一度根付けば雨水だけで育つほど乾燥に強く、夏の暑さもものともしません。これらの植物を、砂利や岩と組み合わせて植栽することで、モダンでおしゃれな雰囲気を出しつつ、水やりの手間を大幅に減らすことができます。
夏庭を成功させる3つの鉄則
- ●
ブルーやホワイトを中心とした「寒色系」で視覚的に涼しくする - ●
落葉樹や構造物を使い、植物のための「避難場所(日陰)」を作る - ●
乾燥に強い植物を選び、水やりの頻度を減らす
3. 秋の紅葉を楽しめる植栽計画の立て方
実ものとグラス類で演出する「秋の風情」
秋の庭は、鮮やかな花よりも「質感(テクスチャー)」と「色づき」を楽しむ季節です。紅葉する樹木はもちろん美しいですが、狭い庭では大きな木を何本も植えるのは難しいかもしれません。そこでおすすめなのが、「実のなる植物」と「オーナメンタルグラス(観賞用グラス)」です。
「コムラサキ」の紫色の実や、「ナンテン」の赤い実は、秋の深まりを感じさせてくれます。また、ススキの仲間である「パンパスグラス」や「ミューレンベルギア」などのグラス類は、秋風に揺れる穂が美しく、夕日に照らされると黄金色に輝きます。これらの植物を取り入れることで、視覚だけでなく、風に揺れる「音」や「動き」でも秋を感じられる情緒的な庭になります。
紅葉と常緑樹のコントラスト
庭全体が紅葉する落葉樹ばかりだと、冬になった瞬間に全てが枯れ木となり、寂しい印象になってしまいます。美しい秋の庭を作る秘訣は、変わらない緑(常緑樹)を背景に、変化する赤や黄色(紅葉)を配置することです。
濃い緑色の背景があることで、モミジやドウダンツツジの赤色がより鮮明に浮き上がります。庭の設計段階で、常緑樹と落葉樹の割合を「6:4」または「7:3」程度にしておくと、秋の美しさと冬の目隠し機能を両立できます。
小さな庭でも楽しめる紅葉樹の選び方
「紅葉を楽しみたいけれど、庭が狭くて……」という方のために、あまり大きくならず、かつ美しい紅葉を見せてくれる樹種を厳選しました。鉢植えでも管理可能なものが多いので、ベランダガーデナーさんも必見です。
4. 冬でも美しく見える庭のデザインアイデア
「構造(ストラクチャー)」で見せる冬の美学
多くの植物が葉を落とし、花がなくなる冬は、庭の「骨格」があらわになる季節です。ガーデンデザインの世界では、この時期こそが庭の真価が問われると言われます。冬でも美しい庭にするために必要なのは、花に頼らない「構造物」と「常緑樹」の配置です。
例えば、レンガ造りの花壇、デザイン性の高いフェンス、石畳のアプローチ、そしてガーデンオーナメントやバードバスなどです。これらは植物が枯れても色褪せることがなく、冬の寂しい庭にフォーカルポイント(視線を集める点)を作ってくれます。冬の間、構造物に雪が積もった景色もまた、一つの完成されたデザインとなります。
「ウィンターガーデン」を彩る植物たち
冬=花がない、というのは思い込みです。寒さの中でこそ輝く植物を選べば、冬の庭もカラフルに彩ることができます。代表的なのが「パンジー・ビオラ」や「ハボタン」ですが、これらは一年草です。毎年植え替えるのが大変な場合は、冬に見頃を迎える低木やカラーリーフを活用しましょう。
例えば、赤い実をつける「クリスマスホーリー(セイヨウヒイラギ)」や「チェッカーベリー」、あるいは黄色い花を咲かせる「ロウバイ」や「マホニア」などは、冬の貴重な彩りとなります。また、花ではありませんが、独特の樹皮の色を楽しむ植物もあります。「サンゴカクモミジ」は、冬になると枝が鮮やかな珊瑚色(赤)に染まり、白い雪とのコントラストが息をのむほど美しいです。
夜を楽しむガーデンライティング
冬は日照時間が短く、庭を楽しめる時間が減ってしまいます。だからこそ、夜の庭を楽しむための「ライティング」が効果を発揮します。落葉して枝だけになった樹木をライトアップすると、枝の影が壁面や地面に落ち、夏には見られない幻想的なシルエットを楽しむことができます。
また、温かみのある電球色のライトは、冬の寒さを視覚的に和らげてくれます。ソーラーライトやローボルトライトを活用して、冬の夜長を庭の景色と共に楽しむのも、大人のガーデニングの醍醐味です。
関連記事はこちら:プロが教えるガーデンデザインの成功事例とアイデア
5. 季節ごとのメンテナンスを簡単にする工夫
「適地適木」がメンテナンスを減らす鍵
四季を楽しむためには、ある程度の手入れが必要ですが、それを最小限にするための原則が「適地適木(てきちてきぼく)」です。これは、その場所の環境(日当たり、風通し、土壌)に合った植物を植えるという意味です。
例えば、湿気を好む植物を乾燥した場所に植えれば、毎日の水やりが欠かせません。逆に、日陰を好む植物を日向に植えれば、葉焼け対策に追われます。植物本来の性質に合った場所に植えてあげれば、植物は勝手に元気に育ち、人間が手を貸す必要はほとんどなくなります。デザインを考える前に、まず「そこの環境はどうなのか」を観察することが、結果として一番の時短になります。
マルチングで雑草と乾燥を防ぐ
季節を問わず発生する雑草や、夏場の乾燥を防ぐための最強の手段が「マルチング」です。植物の株元や土が見えている部分を、バークチップや腐葉土、あるいは藁(わら)などで覆ってしまう手法です。
マルチングには以下の3つのメリットがあります。
- 防草効果: 日光を遮断することで雑草の発芽を抑える。
- 保湿・保温効果: 夏は土の乾燥を防ぎ、冬は霜柱から根を守る。
- 泥はね防止: 雨による泥はねを防ぎ、病気(黒星病など)の予防になる。
見た目も美しくなり、管理の手間も減る。まさに一石二鳥以上のテクニックですので、ぜひ取り入れてください。
作業を季節ごとに分散させる
「庭仕事が大変」と感じるのは、春や秋の特定の時期に作業を詰め込みすぎているからかもしれません。剪定や施肥、植え替えなどの作業を、年間を通して分散させるスケジュールを組みましょう。
例えば、全ての樹木の剪定を冬にやるのではなく、花が終わった直後に剪定する木(花後剪定)と、冬に剪定する木を把握しておきます。また、雑草取りも「目についた時に5分だけやる」を習慣化すれば、週末に何時間も費やす必要はなくなります。「小さな作業をコツコツと」が、四季を通じて美しい庭を維持する秘訣です。
6. ガーデンデザインで重要な植栽の配置バランス
プロが使う「不等辺三角形」の法則
庭に植物を植える際、ただ漫然と並べるだけでは、どこか不自然で整っていない印象になってしまいます。自然で美しい景観を作るために、プロのガーデナーが必ず意識しているのが「不等辺三角形」の法則です。
これは、植物を3株配置する際に、上から見て「正三角形」や「二等辺三角形」にせず、あえて辺の長さが異なる「不等辺三角形」になるように配置するテクニックです。自然界には完全な対称性はほとんど存在しません。そのため、等間隔に並べると人工的な違和感が生まれてしまうのです。3株を1つのグループとして捉え、それぞれの距離を「狭い・普通・広い」とランダムにすることで、まるで元々そこにあったかのような自然なリズムと奥行きが生まれます。これは、高木、低木、下草のどのレイヤーでも応用できる基本かつ究極のテクニックです。
成長後の「株間」を計算する想像力
園芸店で売られている苗は、いわば「赤ちゃん」の状態です。ポット苗のサイズに合わせて植え付けてしまうと、数ヶ月後、あるいは数年後には植物同士が押し合いへし合いし、蒸れて病気が発生したり、弱い植物が淘汰されたりしてしまいます。
デザインの段階で最も重要なのは、その植物が「最終的にどのくらいの幅(樹冠)に広がるか」を知り、適切な「株間(かぶま)」を確保することです。植え付け直後は土の面積が広く、スカスカで寂しく見えるかもしれません。しかし、その「余白」こそが植物が健全に育つためのスペースであり、デザインの一部でもあります。どうしても隙間が気になる場合は、一年草などの寿命が短い植物を一時的に植えるか、可愛いオーナメントや石を置いてカバーするのが賢い方法です。
フォーカルポイントを作る「引き算」の配置
あれもこれもと植物を詰め込みすぎると、視線の行き場がなくなり、雑然とした印象になります。美しい庭には、必ず視線を集める「フォーカルポイント(注視点)」が存在します。
例えば、庭の奥にシンボルツリーを一本植えたり、壁面にアイアン製のトレリスを設置したり、あるいは美しい鉢植えを一つだけ置いたりします。そして、その周囲にはあえて背の低い植物やグランドカバーを配置して空間を空けます。このように「主役」と「脇役」を明確にし、主役を引き立たせるために周囲の要素を減らす「引き算」のデザインこそが、洗練された庭を作るコツです。
7. 四季の変化を楽しむための植物の選び方
「花」ではなく「葉」で選ぶカラーリーフの魔法
四季を通じて美しい庭を作るための最大の秘訣、それは「花よりも葉(リーフ)を重視して選ぶこと」です。花が咲いている期間は、長いものでも数週間から1ヶ月程度です。つまり、一年の大半は「葉の状態」で過ごすことになります。
そこで活躍するのが、葉自体に色や模様がある「カラーリーフ」です。紫色の葉を持つ「ヒューケラ」や、銀色の葉が輝く「シルバーレース」、鮮やかなライムグリーンの「リシマキア」などを組み合わせることで、花が咲いていない時期でも庭はカラフルで華やかになります。特に冬場は花が少ないため、常緑のカラーリーフは庭の彩りとして欠かせない存在となります。
「枯れ姿」まで計算に入れた選定
多くの人は植物の「最盛期」だけを見て購入しますが、プロは「枯れ姿」まで計算に入れます。特に宿根草やグラス類の中には、冬に地上部が枯れた後も、そのドライフラワーのような姿が美しいものが多くあります。
例えば、「アナベル(アジサイ)」は花が終わった後も剪定せずに残しておくと、花房がカサカサのベージュ色になり、冬の庭にアンティークな雰囲気を与えてくれます。また、「シードヘッド(種がついた穂)」が美しいエキナセアなども、冬の庭の彫刻的なアクセントになります。枯れたらすぐに切り戻すのではなく、その造形美を楽しむという視点を持つと、冬の庭の楽しみ方が格段に広がります。
在来種と園芸品種の賢い使い分け
植物には、日本にもともと自生している「在来種」と、品種改良された「園芸品種」があります。これらをバランスよく組み合わせることも大切です。
在来種(ツワブキ、ホトトギス、ヤマボウシなど)は、日本の気候風土に合っているため非常に丈夫で、季節感を感じさせます。一方、園芸品種は花の色が鮮やかだったり、開花期が長かったりと、観賞価値が高いのが特徴です。庭の骨格となるベース部分には丈夫な在来種や強健な低木を配置し、目立つ場所や鉢植えには華やかな園芸品種を使うことで、管理のしやすさと見た目の美しさを両立させることができます。
関連記事はこちら:プロが教えるガーデンデザインの成功事例とアイデア
8. 手入れが楽な季節対応の庭づくりのポイント
面積を区切る「ゾーニング」で管理を楽に
庭全体を完璧に管理しようとすると、必ず無理が生じます。手入れを楽にするためには、庭を「見るエリア」と「育てるエリア」に明確に分けるゾーニングが有効です。
「見るエリア」には、常緑樹や低木、グランドカバーなど、一度植えれば手がかからない植物を配置します。一方、「育てるエリア」は、玄関先やリビングから見える一角など、小さなスペースに限定し、そこで季節の一年草や手のかかるバラなどを集中的に育てます。管理すべき場所を限定することで、限られた時間と労力を効果的に使えるようになり、結果として庭全体のクオリティが上がります。
コンテナ(鉢植え)を活用した模様替え
地植えにしてしまうと、季節が変わっても移動できませんが、鉢植え(コンテナ)なら自由自在です。手入れが楽な庭を作るなら、季節感を演出する役割は鉢植えに任せてしまうのが賢い方法です。
春はチューリップの鉢を最前列に、夏はハイビスカスに交代、秋にはコスモスを……というように、ステージの主役を入れ替える感覚で鉢を移動させます。花が終わった鉢はバックヤードに下げて養生させれば、メインの庭は常に「見頃」の状態を保てます。また、台風の時や真夏の酷暑の時に、植物を安全な場所に避難させられるのも鉢植えの大きなメリットです。
自動灌水システムという投資
夏場の水やりは、ガーデニングの最大のハードルと言っても過言ではありません。特に旅行や帰省のシーズンは、水切れで植物を枯らしてしまうリスクが高まります。これを解決する唯一の方法が「自動灌水(かんすい)システム」の導入です。
「装置が大掛かりそう」と思われるかもしれませんが、最近は蛇口に取り付けるだけの簡易的なタイマー式給水器が1万円程度で手に入ります。ホースを這わせて点滴ノズルを設置すれば、決まった時間に自動で水やりをしてくれます。水やりの手間から解放されるだけでなく、植物にとっても規則正しい水分補給は成長を助けるため、導入効果は絶大です。
ローメンテナンスを実現する3つの神器
- ●
植物の足元を覆う「マルチング材」(バークチップ等)で雑草と乾燥を防ぐ - ●
季節の花は「鉢植え」で管理し、地植えは丈夫な低木メインにする - ●
夏場の水やりを自動化する「タイマー式散水機」を取り入れる
9. 四季折々の風景を活かしたデザイン事例
事例1:シンボルツリー「ジューンベリー」のある庭
一本の木で四季すべてを楽しむ、というコンセプトの事例です。シンボルツリーとして選んだのは「ジューンベリー」。
春には桜のような白い花が一斉に咲き、初夏には赤い実がなり(ジャムにして食べられます)、夏は涼しげな緑陰を作り、秋には鮮やかに紅葉し、冬は美しい枝ぶりを見せる。まさに四季のバロメーターとなる木です。この木の足元に、春咲きの球根や、冬に常緑のクリスマスローズを植栽することで、省スペースながら季節の移ろいを濃厚に感じられる庭が完成しました。
事例2:日陰を活かした「シェードガーデン」
建物の北側や、隣家の影になる場所は暗くて植物が育たないと思われがちですが、実はしっとりとした情緒ある庭を作るには最適な場所です。
強い日差しを嫌う「ギボウシ(ホスタ)」や「シダ類」、「アジサイ」などを組み合わせ、緑の濃淡を楽しむデザインにしました。日向の庭のような派手さはありませんが、夏でも涼しげで、植物が乾燥しにくいため水やりの回数も少なくて済みます。秋には、日陰でも育つ「シュウメイギク」が可憐な花を咲かせ、静寂の中に彩りを添えてくれます。
10. プロが実践する四季対応ガーデンデザイン
「土壌改良」こそが持続可能な庭の土台
デザインの話からは少し逸れるように感じるかもしれませんが、四季を通じて植物を健康に保つために、プロが最も時間と予算をかけるのが「土壌改良」です。どれほど高価な苗を植えても、土が固くて水はけが悪ければ、植物は根を張れずに弱り、病気になりやすくなります。
植え付け時には必ず腐葉土や堆肥をたっぷりと混ぜ込み、水はけと保水性のバランスが良い「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」の土を作ります。ふかふかの土があれば、植物は深く根を張り、夏の日照りや冬の寒さにも耐える基礎体力を身につけます。結果として、薬剤散布や植え替えの手間が減り、ローメンテナンスな庭が実現するのです。
「借景」と「環境」を味方につける
庭のデザインを考える時、どうしても自分の敷地の中だけで完結させてしまいがちですが、プロは敷地の外にも目を向けます。隣家の立派な庭木、遠くに見える山並み、あるいは公園の緑などを、自分の庭の背景として取り込む「借景(しゃっけい)」のテクニックです。
例えば、隣家に大きな桜の木があるなら、自分の庭には桜と開花時期が異なる植物を植えることで、お互いの景色を引き立て合うことができます。また、風の通り道や日当たりの変化を一年かけて観察し、「ここは夏に西日が強いから落葉樹で木陰を作ろう」「ここは冬の北風が抜けるから常緑の生垣でガードしよう」といった具合に、環境そのものをデザインに組み込むことで、無理のない、心地よい庭が生まれます。
庭と共に暮らす、豊かな四季のサイクル
ここまで、四季折々の庭を楽しむためのデザインアイデアや、具体的な植栽計画について解説してきました。
この記事で最もお伝えしたかったのは、「完璧な庭を目指す必要はない」ということです。植物は生き物ですから、予想通りにいかないこともあります。しかし、枯れた姿にも美しさを見出し、葉の色の変化に季節を感じることこそが、ガーデニングの真の喜びです。四季の変化を受け入れ、それを楽しむ余裕を持つことで、庭はあなたにとって最高の癒やしの場所となるでしょう。
まずは明日、園芸店に行って、花ではなく「葉の色や形」に注目して苗を一つ選んでみてください。あるいは、庭に出て、朝と夕方で日の当たり方がどう変わるかを観察するだけでも立派なガーデニングの第一歩です。その小さな行動が、一年中美しい庭への確かな入り口となります。
四季のガーデンデザインに関するよくある質問
A. はい、シェードガーデンとして十分に楽しめます。
直射日光を必要としない植物(ギボウシ、アジサイ、クリスマスローズ、ヤブランなど)を選ぶことがポイントです。日陰ならではのしっとりとした深みのある緑や、葉のコントラストを楽しむ、大人っぽい庭を作ることができます。
A. 虫がつきにくい植物を選び、予防薬を活用しましょう。
ハーブ類(ミント、ローズマリー)や多肉植物は比較的虫がつきにくいです。また、植え付け時に土に混ぜるタイプや株元に撒くタイプの殺虫剤(オルトランなど)を使用することで、植物自体が虫への抵抗力を持つようになり、発生を大幅に抑えられます。
A. 基本は「元肥(植え付け時)」と「追肥(成長期)」です。
植え付ける際にゆっくり効く肥料を土に混ぜ込みます。その後は、春と秋の成長期に追肥を行います。真夏や真冬の休眠期に肥料を与えると根を痛める原因になるので、植物が元気に動いている時期にあげるのが鉄則です。
A. 「常緑ヤマボウシ」や「ソヨゴ」が初心者向きです。
これらは一年中葉があり目隠しになりつつ、成長が比較的緩やかで剪定の手間が少ないためです。花や実も楽しめるので、季節感も味わえます。落葉樹なら、先述した「ジューンベリー」も管理がしやすく人気があります。
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