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2025年11月13日

アウトドアダイニングを楽しむためのガーデン家具の選び方

風が心地よい季節、庭でグラスを片手に、大切な人たちと笑いながら食事をする…。そんな映画のワンシーンのような「アウトドアダイニング」に、誰もが一度は憧れますよね。いつもの食事が、外で食べるというだけで、何倍も美味しく、そして特別な時間に感じられます。

何を隠そう、私自身もその一人でした。しかし、初めての庭づくりで舞い上がり、見た目のおしゃれさだけで選んだテーブルセットが、たった一度の台風で無惨にひっくり返り、チェアは見るも無残に色褪せてしまった…。あの時のショックと、「安物買いの銭失い」という言葉の重みは、今でも忘れられません。

リビングの家具を選ぶのとは全く違う、屋外ならではの厳しい「掟」があるのです。これから、私が数々の失敗から学んだ、「後悔しない」ガーデン家具の選び方の秘訣を、余すところなくお伝えしていきます。

1. 庭での食事を快適にするガーデンダイニングセットの選び方

ガーデンダイニングセットは、アウトドアダイニングという「舞台」の、まさに主役です。この主役選びが、その後の物語のすべてを決めると言っても過言ではありません。ここでは、後悔しないための3つの視点をご紹介します。

視点1:利用人数とスペース。「+2人」の法則
まず考えるべきはサイズですが、私が家具を選ぶ際の鉄則は、「普段使いの人数+2人」で考えることです。庭での食事は、不思議と人を呼びたくなるもの。「ちょっとお茶しない?」と、気軽に友人を招きたくなります。その時に「椅子が足りない!」と慌てないための、ささやかな、しかし重要な投資だと考えています。

ただし、忘れてはならないのが設置スペースとのバランスです。テーブルを置いたら、人がスムーズに通る「動線」がなくなった…なんてことになったら悲しいですよね。椅子を引いて座った状態で、その後ろを人が楽に通れるか。必ずメジャーを片手に、具体的なシミュレーションをしてみてください。
  
視点2:素材の個性を知る。誰とパートナーシップを組むか
ガーデン家具の素材は、それぞれが一長一短の個性を持っています。どの素材とパートナーシップを組むか、ご自身のライフスタイルと照らし合わせてみましょう。

  • ・天然木
    やはり、庭の緑と一番しっくりくるのは天然木ですよね。使い込むほどに味が出る様は、まるで家族と共に年齢を重ねていくパートナーのようです。ただし、その分「少し疲れているわね」と、定期的なオイルメンテナンスで愛情を注いであげる必要があります。
  • ・人工ラタン
    私が自宅で最終的に行き着いたのが、この人工ラタンです。見た目はリゾートホテルのようにリッチなのに、雨に濡れてもサッと拭くだけ。この「見た目と裏腹なタフさ」が、少しズボラな私には最高の相棒です。
  • ・アルミ・スチール
    モダンでシャープな印象を求めるなら、金属製がおすすめです。特にアルミは軽量で移動も楽ですが、その分、強風で飛ばされないような工夫は必要になります。

  
視点3:意外な盲点。「使わない時間」を想像する
そして、多くの人が見落としがちなのが、シーズンオフの収納問題です。「その大きなテーブル、冬の間どこに置くの?」これは、私がかつて妻に言われてハッとした一言です。

一年中出しっぱなしにできる頑丈な家具も魅力的ですが、日本の気候では、やはり使わない時期は屋内にしまってあげるのが長持ちの秘訣。十分な収納スペースが確保できない場合は、椅子がスタッキング(積み重ね)できたり、テーブルが折りたたみ式だったりするモデルを選ぶのが、非常に賢明な判断と言えるでしょう。

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2. 屋外でも使いやすい耐久性のあるダイニングテーブルの特徴

アウトドアダイニングのテーブルは、リビングのそれとは比べ物にならないほど、孤独で過酷な戦いを強いられます。照りつける紫外線、叩きつける雨、吹きすさぶ風…。これらの自然の猛威に耐え抜く「タフさ」こそ、デザインの美しさ以上に求められる、最も重要な性能なのです。

特徴1:紫外線と水に打ち勝つ「耐候性」
屋外家具が劣化する二大巨頭、それが紫外線による「色褪せ」と、水分による「腐食やサビ」です。
私が過去に大失敗したのは、UVカット加工の施されていない、安価な白いプラスチックテーブルでした。ひと夏を越した頃には、もはや白ではなく黄ばんだクリーム色に成り果て、表面は触るだけでポロポロと粉を吹く始末。「安物買いの銭失い」を、文字通り骨身に染みて体感した瞬間でしたね。

選ぶ際には、以下の点を確認しましょう。

  • UVカット加工:樹脂製の場合は、この加工の有無が寿命を決定づけます。
  • サビに強い加工:スチール製なら「粉体塗装(パウダーコーティング)」など、錆止め加工がしっかりしているか。
  • 木材の種類:チークやイペといった、油分を多く含み、腐食に強い「ハードウッド」が使われているか。

  
特徴2:ストレスフリーな「手入れのしやすさ」
屋外での食事は、砂埃や鳥のフン、食べこぼしなど、汚れがつきものです。デザインが複雑で、溝や隙間が多いテーブルは、そこに汚れが溜まって掃除が非常に大変になります。
ガラスや滑らかな樹脂製の天板など、汚れたらサッと水拭きできる、凹凸の少ないシンプルなデザインが、結果的に長く清潔に使うための秘訣です。
 
特徴3:風にも動じない「安定感」
「気持ちの良い風だな」なんて思っていたら、突風でパラソルごとテーブルがひっくり返り、楽しみにしていたパスタとワインが地面に…考えただけでも恐ろしいですよね。

特にパラソルを立てるタイプのテーブルは、傘が風を受けるため、想像以上の力がかかります。見た目のおしゃれさだけでなく、ある程度の「重量」があり、脚の構造がしっかりとしていて、重心が低く設計されているかどうかが、安心感に直結します。

3. 食事を楽しめるシェード・パラソルの活用方法と設置ポイント

美味しい食事、楽しい会話、そして「心地よい日陰」。この三つの要素が揃って初めて、最高のアウトドアダイニングは完成すると私は思っています。夏の強い日差しは、料理にとっても、そして私たち自身にとっても、思った以上の強敵なのです。

空間をデザインする、シェードの種類
屋外用の日除けには、いくつかのタイプがあります。それぞれの特徴を知り、ご自身のダイニングスペースに最適なものを選びましょう。

  • ・パラソル:最も手軽で一般的な日除けです。テーブルの中央に挿す「センターポール」タイプと、支柱が外側にある「ハンギング」タイプがあります。私が断然おすすめしたいのは、ハンギングパラソルです。テーブルの真ん中にポールがないだけで、視界は開け、会話は弾み、料理の配置も自由自在。この快適さを一度知ってしまうと、もうセンターポールのタイプには戻れません。
  • ・シェードセイル:三角形や四角形の布を張る、モダンでおしゃれな日除けです。広い範囲をカバーでき、見た目も軽やか。リゾートのような雰囲気を演出したい場合に最適です。
  • オーニング:建物の壁に取り付ける、巻き取り式の屋根です。必要な時だけさっと引き出せる手軽さが魅力で、ウッドデッキやテラスとの相性は抜群です。

  
「まさか」を防ぐ、設置の鉄則
シェード類で最も注意すべきは、「風」です。私がこれまで見てきたパラソルの事故は、ほぼ100%、ベース(土台)の軽さが原因でした。隣の家のパラソルが風で飛んできて…なんて、笑えない話も実際にあります。

  • 鉄則1:パラソルは「ベース」こそ命
    パラソル選びは、「本体のデザインよりも、ベースの重さで選ぶ」と肝に銘じてください。風の強い場所や、大きなパラソルを使う場合は、最低でも20kg以上の重量があるベースを選ぶことを強く推奨します。
  • 鉄則2:太陽の「逃げ道」を塞ぐ
    太陽は、食事中にもどんどん動いていきます。「設置した時は完璧だったのに…」とならないために、傘の角度を変えられる「チルト機能」は非常に便利です。西日対策としても、この機能があるかないかで快適さが全く違います。
  • 鉄則3:取り付け壁の強度を確認する
    オーニングやシェードセイルを壁に取り付ける場合は、その壁に十分な強度があるか、必ず専門の施工業者に確認してもらってください。見た目以上に大きな力がかかるため、自己判断での取り付けは非常に危険です。

4. 折りたたみ可能なガーデンチェアでスペースを有効活用するコツ

お庭のスペースは、残念ながら無限ではありません。特に、マンションのバルコニーや、こぢんまりとしたテラスでアウトドアダイニングを楽しみたい場合、「使わない時に、いかに空間を広く確保できるか」は死活問題とも言えるテーマですよね。

私も以前、決して広くはないベランダに、デザインだけで選んだ大きな椅子を無理やり置いてしまい、洗濯物を干すのにも一苦労…という、本末転倒な状態に陥ったことがあります。その手痛い失敗から学んだのが、折りたたみ家具の偉大さと、その賢い活用術でした。

コツ1:デザインで選ぶ。「折りたたみ=安っぽい」は過去の話
一昔前の折りたたみ椅子というと、キャンプ用の簡易なものを想像するかもしれません。しかし、どうかその先入観を捨ててください。最近のアウトドア用チェアは、イタリアのブランド物かと見紛うほど、驚くほどデザイン性が高いものがたくさんあるんです。

美しい木製のディレクターズチェアや、シャープなアルミフレームのチェアなど、折りたたむのが惜しくなるほどの逸品も。「変形する家具」という視点で、デザインそのものを楽しんで選ぶのが、まず最初のコツです。

コツ2:軽さと強度の「絶妙なバランス」を見極める
「折りたたみ」という機能に惹かれて選ぶのですから、もちろん軽さは重要です。しかし、軽すぎればどうなるか。そう、風で簡単に飛んでいってしまうのです。

軽すぎて風に怯えることもなく、かといって重すぎて倉庫から出すのが億劫になることもない。この「絶妙なバランス」の一脚を見つけ出すのが、まるで宝探しのような楽しみでもあります。購入前には、必ず製品の重量と耐荷重をスペック表で確認する癖をつけましょう。

コツ3:「壁掛け収納」という、上級テクニック
さて、ここからが上級テクニックです。折りたたんだ椅子を、ただ物置の隅にしまい込むだけではもったいない。私の一押しは、壁にデザイン性の高いフックを取り付けて、「見せる収納」をすることです。

たたまれた姿も美しい椅子を選べば、使わない時ですら、壁を彩る一つのアートオブジェのように機能してくれます。スペースの有効活用と、おしゃれな空間演出を同時に叶える、まさに一石二鳥のアイデアです。

関連記事:ガーデン家具の素材別メリットとデメリット:快適なアウトドア空間を作るための選び方

5. ガーデンキッチンを取り入れたアウトドアダイニングのアイデア

アウトドアダイニングの楽しさを、もう一段階上のレベルへと引き上げてくれるもの。それが、屋外で調理まで完結できる「ガーデンキッチン」という存在です。

私が思うアウトドアダイニングの本当の醍醐味は、完成した料理を食べるだけでなく、調理のプロセスそのものをエンターテイメントにすること。青空の下、ゲストと会話を楽しみながらジュージューと肉を焼いたり、採れたてのハーブを刻んだり。そのライブ感こそが、最高のスパイスになるのです。

アイデア1:BBQグリルを中心とした「クッキングステーション」
最も手軽に始められるのがこのスタイルです。主役であるBBQグリルをただ置くだけでなく、その両脇に作業台となるカウンターを設ける。たったこれだけで、驚くほど調理がスムーズになります。

  • ポイント:食材を置くスペース、焼き上がった肉を置くスペース、トングや食器を置くスペースが確保され、料理をする人が自分だけの「コックピット」を持つことができます。

  
アイデア2:移動式ワゴンを活用した「どこでも簡易キッチン」
「本格的なキッチンを造作するのは、予算的にもハードルが高い…」と感じる方に心からおすすめしたいのが、移動式のキッチンワゴンです。

何を隠そう、私もこのワゴンを愛用している一人。これ一台あるだけで、キッチンで準備した食材や大量の食器、重たいドリンク類などを一度に庭まで運ぶことができます。テーブルの上がごちゃごちゃになるのを防ぎ、食事中はサイドテーブルとしても大活躍。使わない時は室内で使える、まさに万能選手です。

アイデア3:シンク付きの「本格ガーデンキッチン」
これはもう、アウトドア好きにとっての憧れの最終形態ですよね。屋外に専用のシンクがあることの快適さは、一度体験すると元には戻れません。

  • 究極の快適性
    • 採れたての野菜をその場で洗える。
    • 食材に触れて汚れた手をすぐに洗える。
    • 使った食器を軽くすすいでおける。

キッチンと庭を何度も往復する必要がなくなり、ゲストとの会話を途切れさせることなく、スマートに調理と食事を進行できる。この「シームレスな体験」こそ、本格的なガーデンキッチンがもたらしてくれる、最高のご褒美なのです。

6. 屋外バーベキューに最適なテーブルとチェアの組み合わせ

数あるアウトドアダイニングの中でも、バーベキューは特別なイベントです。ただ食事をするだけでなく、調理する人、食べる人が一体となって空間と時間を楽しむ。だからこそ、家具選びもその「一体感」「ライブ感」を演出する、という視点が重要になってきます。

ポイント1:「高さ」が、場の空気を決める
バーベキューのスタイルは、テーブルとチェアの「高さ」で大きく二つに分かれます。どちらが良い悪いではなく、どんな時間を過ごしたいかで選びましょう。

  • ・ロースタイル
    地面に近い低いテーブルとチェアの組み合わせです。私が個人的に大好きなのが、このスタイル。まるでピクニックのようにリラックスした、くだけた雰囲気が生まれます。地面との距離が近いことで、子供たちやペットも輪に入りやすいのが嬉しいですね。
  • ・ハイスタイル
    室内のダイニングとほぼ同じ高さの組み合わせです。立ったり座ったりする動作が多いバーベキューでは、腰への負担が少ないこのスタイルも非常に機能的です。調理を担当する人が、座っているゲストと目線の高さが合いやすいため、コミュニケーションが取りやすいというメリットもあります。

  
ポイント2:テーブルは「戦場」であると心得る
バーベキュー中のテーブルは、いわば「戦場」です。熱々の鉄板や鍋が置かれ、タレや油が容赦なく飛び散り、時には炭の火の粉が飛んでくることも。そんな過酷な状況でも動じない、熱と汚れに強いタフな天板が求められます。

  • おすすめの素材:セラミック製のタイル、ステンレス、高圧ラミネート板などが使われたテーブルは、熱に強く、汚れも染み込みにくいため、気兼ねなく使うことができます。

  
ポイント3:チェアは「リラックス感」と「手軽さ」の両立
バーベキューは長時間にわたることが多いですから、チェアはゆったりと体を預けられる、リラックスできる座り心地が何よりも大切です。

しかし、同時に、いつの間にか油やタレで汚れてしまうことも想定しなければなりません。私が椅子を選ぶ際に必ずチェックするのは、「汚れても後悔しないか、簡単にきれいにできるか」という点です。

サッと拭き取れる樹脂製や金属製のチェアも良いですし、布製の場合は、カバーが取り外せて、洗濯機で丸洗いできるタイプが、賢い選択と言えるでしょう。

関連記事:ガーデン家具の素材別メリットとデメリット

7. クッションやマットを使った快適な座り心地の工夫

デザインも素材も完璧なチェアを選んだとしても、最後の最後で座り心地が硬かったら、長時間のリラックスタイムは望めませんよね。アウトドアダイニングを、まるでリビングのように心からくつろげる空間にするための最後の魔法、それがクッションやテキスタイル(布製品)の力です。

  1. 必ず「屋外専用」のクッションを選ぶ
    これが鉄則です。私も最初は、室内で使っているお気に入りのクッションを庭に持ち出して使っていました。しかし、一度うっかり夜露に濡らしてしまったら、中の綿までびしょ濡れで一向に乾かず、気づいた時にはカビが生えてしまうという悲劇が…。

屋外専用のクッションは、快適なだけでなく、厳しい自然環境に耐えるための機能性を備えています。

・撥水・防水加工:突然の小雨にも慌てることがありません。

・防カビ加工:湿気の多い日本の気候では特に重要です。

・耐退色性の高い生地:強い紫外線による色褪せを防ぎ、美しい色を長く保ちます。

  1. ラグやマットで、特別な「床」を作る
    ウッドデッキやタイルの上に、屋外用のラグを一枚敷いてみてください。驚くほど空間が「部屋」らしくなり、温かみのある雰囲気が生まれます。

ラグは空間のゾーニングにも役立ち、「ここが私たちのダイニングよ」という特別なエリアを視覚的に示してくれます。裸足で歩きたくなるような心地よい肌触りが、リラックス感をさらに高めてくれることでしょう。

  1. ブランケットは、最高のおもてなし

日が落ちて少し肌寒くなってきた時に、さっと羽織れるブランケットが数枚用意されているだけで、ゲストへのおもててなしの心が伝わります。

私のおすすめは、デザインの素敵なカゴやバスケットを用意して、そこに丸めたブランケットを数枚入れておくこと。それだけで、まるでお洒落なカフェのテラス席のような雰囲気を演出できますよ。

関連記事:屋外でも快適に過ごせるガーデン家具のレイアウトと配置

8. アウトドアダイニングにおすすめの照明とその配置のポイント

夜のアウトドアダイニングの主役は、間違いなく「照明」です。美味しい料理も、楽しい会話も、美しい光の演出があってこそ、その魅力が最大限に引き出されます。光のデザインが、その夜の雰囲気をロマンチックにも、賑やかにも自在に変えてくれるのです。

夜の時間をデザインする、照明の種類

  • ・ストリングライト(フェアリーライト)
    私が個人的に一番好きなのが、このストリングライトです。パーゴラや木の枝に、少し無造作なくらいに吊るすだけで、まるで海外のガーデンパーティーのような、温かく幻想的な空間が生まれます。非日常感を演出する、最高のアイテムです。
  • ・キャンドルランタン
    もちろんLEDのキャンドルも安全で手軽ですが、もし可能なら、ぜひ本物のキャンドルを試してみてください。ガラスのランタンの中で揺らめく本物の炎は、どんな高価な照明にも真似のできない、特別な癒やしと温かみを与えてくれます。

・ソーラー充電式のガーデンライト
電気工事が不要で、日中太陽の光で充電し、暗くなると自動で点灯する。この手軽さと賢さは、本当に魅力的ですよね。ダイニングエリアを照らすメインの照明には力不足ですが、テーブルまでの小道を照らす誘導灯として配置すると、安全性も高まり、庭全体に奥行きが生まれます。

おしゃれに見せる、光の配置術

「多灯分散」で、光にリズムを生む
一つの強い照明で煌々と照らすのではなく、複数の弱い光を、高さや場所を変えてリズミカルに配置するのが、おしゃれに見せる最大のコツです。テーブルの上、足元、そして頭上。光のレイヤー(層)を作ることで、空間に深みと動きが生まれます。

・料理を美味しく見せる光の色
テーブルの上やその周辺の光は、青白い「昼光色」よりも、温かみのあるオレンジ色の「電球色」を選びましょう。料理をより一層美味しそうに見せてくれる効果があります。

9. 実例から学ぶおしゃれなアウトドアダイニングスペースの作り方

百聞は一見に如かず、ですよね。ここでは、私が見てきた中で、特にセンスが良いと感じ、「これは真似したい!」と思ったアウトドアダイニングの実例から、そのエッセンスを盗んでみましょう。

実例1:色数を絞った、潔い「ワントーンコーディネート」
あるお宅のテラスは、ガーデン家具、パラソル、クッション、鉢植え、さらには食器に至るまで、その全てが白とグレー、そして黒だけで統一されていました。その徹底した色選びの潔さが、まるでモダンなデザインホテルのようでした。

色数を極限まで絞ることで、余計な情報がなくなり、庭の植物の「緑」と、空の「青」が、もっとも鮮やかな主役として浮かび上がります。洗練された大人の空間を目指すなら、非常に効果的なテクニックです。

実例2:室内との境界線を消した「ボーダレス」な空間
リビングのフローリングと、その先のウッドデッキの木材の色と向きを完全に合わせる。そして、室内用のラグと、屋外用のラグを、同じデザインや色調のもので連続して敷く。

この「うち」と「そと」を曖昧にするテクニックは、空間を驚くほどシームレスに繋げ、実際以上に広々と見せてくれます。窓を開け放てば、そこはもう、どこまでがリビングでどこからが庭なのか分からない、究極のアウトドアリビングの完成です。

実例3:夜の照明を主役にした「光の庭」
そのお宅は、昼間よりも夜が何倍も美しい庭でした。テーブルの上にはもちろん雰囲気のあるランタンが灯されているのですが、それだけではありません。足元を優しく照らすフットライト、そして庭のシンボルツリーを下から照らし上げるスポットライトが巧みに配置され、庭全体が光と影が織りなすアート作品のよう。

「食事の時間が、特別な体験に変わるんです」と語るご主人の言葉が、とても印象的でした。照明計画こそ、夜の庭の価値を決定づけると言っても過言ではありません。

10. メンテナンスが楽で長持ちするアウトドアダイニング家具の管理方法

どんなに素敵なガーデン家具も、手入れが大変だと、だんだん外に出すのが億劫になってしまいますよね。私も「買って満足」で終わってしまい、手入れを怠ったせいでダメにしてしまった家具が、過去にいくつもあります。

お気に入りの家具と、できるだけ長く、そして気楽に付き合っていく。そのためには、購入時の「素材選び」と、日々のほんの少しの「習慣」が大切です。

最初が肝心。「ほったらかしにできる」素材を選ぶ
メンテナンスの手間を最も左右するのは、やはり素材です。

  • アルミや高品質な人工ラタン:これらの素材は、基本的に「何もしなくても良い」と言えるほど、高い耐久性と耐候性を誇ります。汚れたら水拭きする程度で、特別なメンテナンスはほとんど必要ありません。
  • 天然木:木の風合いを楽しみたいけれど、メンテナンスは苦手…という方は、チーク材などの油分を多く含むハードウッドを選びましょう。無塗装でもシルバーグレーに美しく経年変化し、それが味になります。


最もシンプルで、最も効果的な管理法
そして、どんな素材の家具であっても、その寿命を何倍にも延ばしてくれる、最もシンプルで効果的な方法。それが、「家具カバー」の活用です。

食事やティータイムが終わったら、さっとカバーを掛けておく。たったこれだけの手間を惜しまないことで、紫外線による色褪せや、雨、砂埃、鳥のフンといったあらゆる外的要因から、あなたの大切な家具を守ってくれます。

私が声を大にして言いたいのは、「カバーは、必ず家具とセットで購入してください」ということ。後から探すと、意外とぴったりのサイズが見つからないものですよ。
 
関連記事:季節を問わず快適に使えるガーデン家具の工夫
 
最高のレストランは、我が家の庭にある

ここまで、アウトドアダイニングを楽しむためのガーデン家具の選び方から、空間の演出法、そして管理方法まで、様々な角度からお話ししてきました。

アウトドアダイニングの本当の価値は、高価な家具をずらりと並べることではありません。お気に入りの椅子に深く腰掛けて、頬をなでる風を感じ、鳥の声に耳を澄ませながら、大切な人と過ごす「時間」そのものにあると、私は信じています。

そのかけがえのない時間のために、私たちは家具を選び、日陰を作り、灯りをともすのです。

まずは、椅子一脚と小さなサイドテーブルからでも構いません。天気の良い日に、庭に出てコーヒーを一杯飲んでみる。そこから、あなたの物語は始まります。

あなただけの「最高のレストラン」を、ぜひご自宅の庭にオープンさせてみてください。
 

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